世界をまもなく支配すると思われるハラール医薬品マーケット HALALMARKET

ハラール医薬品はシャリア(イスラム法)に厳格に準拠した医薬品です。より具体的には、ハラール医薬品とは、動物のいかなる一部(イヌ、ブタ、特に牙を持つ動物)をも含んでいない医薬品、昆虫(蜂)、アルコール、シャリアの下で「ハラーム」として禁止されているその他の物質を含まない医薬品です。有能な宗教団体の規制機関またはハラール認証機関は、一般的にハラールまたはハラーム(許容されていない)として、薬物に関してコンタミネーションのない管理を行っています。ハラール医薬品は、例えばマレーシアの場合は全国医薬品規制当局により、通常の販売前および販売後とも規制の対象となっています。ハラール医薬品市場は、拡大しつつあるイスラム教徒(ムスリム)集団からの、ハラールとして信頼性の高い医薬品に対する需要が増大していることより、市場の拡大と収益の増大が世界的に期待されています。インドネシア・ウラマ評議会MUI(Majelis ULAMA Indonesia)やマレーシアイスラム開発庁(JAKIM)などからハラール薬品の承認を受けた医薬品は、世界的に消費が増加することが見込まれています。現在、ハラール医薬品は世界のハラール市場の総収入の3分の1近くに寄与していると推定されており、シャリア準拠薬は非常に魅力的なビジネスチャンスを獲得することが期待されています。実際、需要がハラール医薬品の供給を大幅に上回っていることより、医薬品業界に将来的に大きな経済的付加価値を生み出す可能性示しています。
ハラール医薬品マーケット:促進要因と制約条件
ハラールの医薬品市場の促進要因には、ムスリム人口の増大が含まれています。ムスリム人口が2015年には世界人口の25%近くを占めると推定されていることを考えると、約16億人(ピューリサーチセンター報告による) - ムスリム人口の年間増大率は1.6%と推定されており、世界人口の年間成長率1.1%より多くなっています。
健康や医薬品に関するムスリムの人たちの認識が高まっているのは、主に教育の拡大によっています。これは、ハラール医薬品市場の成長に貢献しているもう一つの主要な要因となっています。ハラール薬の必要性と摂取を促すその他の社会経済的要因には、購買力平価の上昇、世界保健機構などの公共機関が支援する資源制約国においての重要な医薬品へのアクセスの拡大、消費の安全性、製品効能の保証、そして、とりわけ衛生的な処理に関する要因が大きくなっています。規制機関から認可された医薬品を取得する必要性が高まってきていることより、マレーシア、インドネシア、ブルネイ、トルコ、フランスなどのハラール医薬品市場における規制が推進されています。
主な制約条件となっているのは、ハラールとノンハラールライン間の相互汚染や、医薬品の承認に必要なハラール諮問機関と認証機関の不足や、非ムスリム諸国に適切なインフラが不足していることが挙げられます。その他の制約条件としては、世界的にハラール薬の研究開発が十分に行われていないことや、シャリアの基準に準拠していないため、ワクチンや生物製剤などの重要な薬品類がないことが挙げられます。ブタの賦形剤(増量剤)などの禁止成分の使用を禁止すると、製造可能な薬剤の数が制限されます。業界専門家は、適切で、十分に規制され、調和のとれた認証とハラール管理を実現することで、ハラール医薬品の需要を引き上げることに長期にわたり貢献できると指摘しています。
ハラール医薬品マーケット:分類
ハラール医薬品マーケットは下記のように分類される:
- 薬品による分類
◦ 呼吸器薬
◦ 心臓血管薬
◦ 内分泌薬
◦ 疼痛薬
◦ アレルギー(咳&風邪)
◦ その他
- 製品タイプ別分類
◦ タブレット
◦ シロップ
◦ カプセル
◦ その他
- 原料による分類
◦ プラントおよびプラントの派生物質
◦ 動物(宗教法に準拠)
◦ 合成および半合成原料
◦ 組換えDNA
- 地域による分類
ハラール医薬品市場:概要
ハラール薬の摂取は、主に2つの理由により世界的に大きな牽引力をもっている。
第一にこれらの医薬品は信仰に完全に準拠しており、宗教法の下では容易に受け入れられます。第二に、これらの医薬品は市場に出される前に、品質および証明のためにきちんと評価されており、主に薬草および合成材料を使用して製造されています。ハラール医薬品の市場は、予測期間での高い年間成長率と、顕著なCAGR(年平均成長率)を実現すると考えられています。地域規制との調整が進む中で、近い将来重要な期待される市場として浮上することが予想されます。
ハラール医薬品市場:地域別の見通し
ハラール医薬品市場は、地域別に北米、南米、東ヨーロッパ、西ヨーロッパ、アジア太平洋、日本、中東、アフリカの7つの主要地域に分けられています。
地理的に見ると、アジア太平洋地域については、特にマレーシア、インドネシア、ブルネイなど、ハラール薬の開発と摂取を行っている主要地域が上げられます。しかし、ハラール医薬品に関する研究開発活動は、欧米の地域でより牽引されつつあります。ハラール薬品認証機関の設立とガイドラインの設定は、伝統的な医薬品開発市場に多く見られる特徴です。ハラール医薬品を生産する企業は、販売ルートや既存の業者とのタイアップを通じ、収益創出のために需要の高い拠点に対応するため、サウジアラビア、マレーシア、トルコ、カタール、ロシア、フランス、リビア、アルジェリア、シンガポールおよびUAEに進出する予定をしています。