イスラム開発銀行 , IDB
by: ムハマド ズベル
البنك الإسلامي للتنمية
IDB
<設立>
IDB(イスラム開発銀行)は、1973年12月(1393ヒジュラ暦Dhul-Q'adah月)、ジッダで開催されたイスラム諸国の財務大臣会合の声明に基づき設立された国際金融機関です。
設立後の初回代表者会議は1975年7月(ヒジュラ暦1395年Rajab月)に行われ、1975年10月20日(ヒジュラ暦1395年Shawwal月15日)、同行は正式に開行しました。
<IDBの目的>
イスラム法(シャリア)の原則に即し、加盟諸国とイスラム地域社会の経済発展および社会発展の促進を目的としています。
<機能>
生産性の高いプロジェクトおよび企業活動への出資と貸付(自己資本と補助金の融資), および他の形態での加盟国への財務支援を通して、加盟国の経済・社会の発展に寄与する機能を果たします。
同行は、加盟国外のイスラム諸国での金融支援および信託ファンドの設立など、特別な目的のための特別基金の設立及び運営を行なう義務があります。
同行は、資金を公募し、シャリアの原則に基づき運用することを承認されています。
また主に資本財を通じた海外取引の促進をも役割として担い、加盟国への技術的支援から、イスラム諸国での金融開発活動に従事する人材へ、シャリアに即した金融活動のためのプログラムを用意するなど、幅広い支援をおこなっています。
<加盟国>
現在の加盟国は56ヵ国です。
加盟の基本的要件はOIC(イスラム協力機構)加盟国であること、IDB理事会の決議に従う意思と同行への出資義務を履行することの2点です。
<資本金>
第38回代表者会議の決議に基づき、資本金は1,000億ディナールに引き上げられ、公募資金として500億ディナールの拠出が承認されています。
<本部および支所>
IDB本部は、ジッダ(サウジアラビアに置かれています。また4ヵ所の地域事務所が、ラバト(モロッコ)、クアラルンプール(マレーシア)、アルマトイ(カザフスタン)、ダカール(セネガル)に開設されました。
その他に窓口事務所がアンカラ(トルコ)、ジャカルタ(インドネシア)の2ヵ所に、現地事務所が14の加盟国(アフガニスタン、アゼルバイジャン、バングラデシュ、ブルキナファソ、ギニア、イラン、マリ、パキスタン、スーダン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、イエメン、モーリタニア、リビア)に置かれています。
<会計年度>
太陰暦ヒジュラ暦が採用されています。
<言語>
公式言語のアラビア語に加え、英語、仏語が実務言語として使用されています。
< IDB ビジョン2020 (ヒジュラ暦1440年)>
IDBはその憲章において、シャリアの原則に則り、加盟国はもとより、IDB非加盟のムスリム諸国の社会経済発展へ寄与することを、その責務として謳っています。
1975年(ヒジュラ暦1395年)の設立以降、同行への加盟国数は増加し、加盟国からのさらなる資本の拡大に対する要望に応える形で、これまでに数回資本増資を行い、加盟国の財政活動を支援してきました。
ここ10年以上、IDBは三大格付機関(Standard & Poor’s, Moody’s, Fitch) からAAA評価を得るなど高い信頼性を誇っています。
IDBはその資金力を機動的に駆使し、加盟国からの高まる資金需要に対応してきました。
イスラム世界が直面している極めて重要な課題に絡んだ財務サービスへの要望は日々高まっています。今後何を優先事項としていくべきか、イスラム諸国に対するIDBの役割はどうあるべきなのか、最新の世界情勢に常に対応できる機関たりうるにはどのようなビジョンが必要なのか。IDBはその使命について考え続けてきました。
2005年(ヒジュラ暦1426年)、IDBは関係者、識者への公聴会を始めました。これが同行の長期的ビジョンの形成につながったのです。それはよりよいサービスの提供のみならず、同行のさらなる活動に長期的な方向感覚を与えました。
公聴会は、加盟国および非加盟国内の著名な代表者および識者で構成され、2002年3月15日、マハティール元マレーシア首相を議長とし、本部のあるジッダで開かれました。
公聴会では、ヒジュラ暦1440年(2020年)までとそれ以降に、IDBおよびイスラム社会が大きな影響を受けるであろう諸問題や課題について意見交換がなされ、「IDBビジョン ヒジュラ暦1440年」の作成を監督する委員会の設立を決定しました。
委員会は、マハティール議長に加えて、12人の識者で構成され、IDBに置かれた事務局およびマレーシアのコンサル機関であるInstitute of Strategic and International Studies (ISIS)からのコンサルタント、その他のパートナーによって支えられています。
加盟国などすべての関係者を中心にすえたビジョンの構築に向け、2005年には委員会との協議の上、IBDは4つのワークショップを企画・開催。各地域の観点からみた戦略的な課題について意見交換を行いました。ワークショップが行われたのは、クアラルンプール(マレーシア)、アルマトイ(カザフタン)、ドバイ(アラブ首長国連邦)、オウガドーゴー(ブルキナ・ファソ)です。
これらのワークショップは、委員会とIDBにとって、IDBの理事、執行委員、経営・管理者、そして各国代表、さらにはイスラムコミュニティやNGO、開発事業のパートナー代表からなるすべての関係者から、ヒジュラ暦1440年とそれ以降の世界情勢を予測し、戦略的課題について、多様な意見を集める機会となりました。加盟国のニーズに応えるためにIDBが果たすべき将来の役割についてもさまざまな議論がなされました。
これらの委員会およびワークショプでの総意は「IDBビジョン1440」報告に詳しく述べられています。
この報告では、イスラムの人間開発コンセプトに基づき、ビジョンが従うべき広範な原則について述べ、Ummah(ムスリムの国民やコミュニティーなどの意)が直面している主要な課題とIDBのビジョン、使命について触れています。
加盟国およびIDB職員を対象に、投資手順の指導を行うミーティングも開催されており、「IDBビジョン1440」の達成に向けた努力が続いています。